遺言書があっても「遺産分割協議」が必要?注意点を解説!

「亡くなった父が遺言書を残していたけれど、家族で話し合って別の分け方をしたい」

「遺言書に書かれていない財産があとから見つかった…」

原則として、遺言書がある場合は遺言書の内容に従って相続手続きを進めます。そのため、あらためて「遺産分割協議書」を作る必要はありません。

しかし、上記のように「相続人全員が合意して遺言と異なる分け方をする場合」や「遺言に漏れていた財産がある場合」などは、例外的に遺産分割協議書が必要になります。

今回は、遺言書がある状況で遺産分割協議を行う際の「4つの条件」「作成ポイント」「見落とせない注意点」を分かりやすく解説します。

1. 遺言と異なる分け方ができる「4つの条件」

遺言書は亡くなった方の最後の意思(遺志)であるため、基本的には最優先されます。ただし、以下の条件がすべて揃っていれば、相続人同士で話し合って遺言と異なる内容で分け直すことが可能です。

  • 相続人全員の合意があること一人でも反対している場合は、遺言書の内容通りに進める必要があります。
  • 「相続人以外」への遺贈がある場合、その方の同意を得ることお世話になった第三者や団体などに財産を譲る内容(遺贈)が含まれている場合、その受遺者全員の同意が必要です。
  • 遺言書で遺産分割が禁止されていないこと遺言書内に「〇年間は遺産分割を禁止する」といった指定(最長5年)がないことが条件です。
  • 遺言執行者がいる場合、その同意を得ること遺言の内容を実現する「遺言執行者」が指定されている場合は、その方の同意が必須となります。

2. 遺言書がある場合の協議書作成ポイント

遺言書が存在する状態で遺産分割協議書を作る場合、通常の協議書とは異なり以下の内容を明確に記載する必要があります。

① 遺言書の存在と「あえて変更する」理由を明記する

書類の冒頭や末尾に、以下のような一文を記載します。

「被相続人〇〇の遺言書の記載にかかわらず、相続人全員の協議により、以下の通り遺産を分割する。」

このように記載することで、遺言書の存在を認知した上で、全員合意のもとで協議を行ったことを法的に証明できます。

② 対象となる財産を整理して記載する

  • 一部の財産だけ分け直す場合: 遺言通りに分ける財産は除外し、協議で分け直す対象財産のみを記載します。
  • すべて分け直す場合: 全財産をリストアップし、再分配の内訳を明確にします。

3. 必ず押さえておきたい「2つの注意点」

遺言と異なる遺産分割を進める際は、以下のリスクに十分注意しなければなりません。

注意点①:相続税の申告期限(10ヶ月以内)

遺言と違う分け方をめぐって話し合いが長引くと、「相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内」という相続税の申告・納税期限に間に合わなくなる恐れがあります。期限を過ぎると特例が使えなくなるなどのデメリットが生じます。(税務申告は税理士)

注意点②:後からの変更による「再分割リスク(税金発生)」

一度、遺言書通りに不動産の名義変更や預貯金の解約を完了させた後に、「やっぱり分け直そう」と遺産分割協議を行うと、法律上は「再分割」とみなされます。

この場合、相続人同士での財産の贈与と扱われ、贈与税や不動産取得税などの余計な税金が課されるリスクがあるため大変危険です。

まとめ:不安な手続きや複雑な条件整理はお任せください

遺言書と異なる遺産分割は、相続人全員の合意形成だけでなく、税金面や手続き上の注意点が数多く存在します。

「自分たちのケースで遺言と違う分け方ができるのか分からない」

「後から税金トラブルにならないか心配」

このようなお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度行政書士にご相談ください。丁寧なヒアリングのもと、法的に間違いのない書類作成と円滑な相続手続きをサポートいたします。

投稿者プロフィール

加藤 秀市
加藤 秀市
東大和市在住 趣味は英会話 週に3~4回ジムに行きます、元気です
絵画鑑賞 音楽鑑賞 車の運転は買い物に使う程度です